次にこの句
    戦いに負け雨に濡れ空仰ぐ
    
    「これは、なんのことを詠んでいるかさっぱりわかりまへんなあ」
    と言われ、
    
    私は思わず、力説した。
    
    「ほら、ありましたでしょう?
    ワールドカップのドイツ対ブラジル戦で、
    ドイツのキーパーのカーンが試合に負けて
    ゴールのポストを背にしゃみこんで
    雨の中空を見上げていましたでしょう?
    あの泣ける場面をそのまま、詠んだんです」
    
    そう言うと、不動産屋さんは
    
    「ワールドカップは見てまへんから
    わかりまへんなあ・・」 と言った。
    
    
    「それなら、みんなにわかるように、
    ワールドカップであることや、
    負けたキーパーがしゃがみこんでいることや
    雨に濡れていることや
    空を無念そうに見上げていることなんか
    全部一つの句の中に読み込みたかったら
    どうしたらいいんですか?」
    と聞いた。
    
    すると不動産屋さんは言った。
    
    そんな複雑な説明のいる場面は
    川柳で表現するのは無理でんなあ(大阪弁)
    
    
    
    